ブログ

『自閉症は増加?』ことばの遅れ 自閉症 、発達障害、相談、専門家

2022.06.29
  • 最新の知識

自閉スペクトラム症は増えているのか?という事について、
簡単にお話ししてみようと思います。

「自閉症はなんで増えたんだろう?」という事をよく聞きます。
増えたことを前提にしていることがありますよね。
ですが、本当に増えているのでしょうか・・・。

結論からすると、

①自閉スペクトラム症という診断名が一般的になってきた。認知度が上がってきた
②その中で受診する人が増えてきた
③診断基準も変わってきていており、比較的広い範囲で診断されるようになった
④発達診断する医療機関、医師が増えてきた

ということが一般的な見解です。

つまり、見かけ上の増加説を支持する説です。
元々ある程度の自閉スペクトラム症の方がいたのですが、近年の潮流の中、
医療機関を受診する方、
診断する医療機関が増えてきている。
「診断名を持つ自閉スペクトラム症」の方が増えている。ということです。

ですから、諸外国では、
異なる自閉スペクトラム症に対するイメージ、
異なる診断基準、診断機関での診断となるので、
当然、有病率も違います。

日本の最新の有病率ですが、信大の本田先生が最近発表されたものがあります。

jamaopen2021pressrelease.pdf (shinshu-u.ac.jp)

報告の中でも本田先生が
「全国的な増加傾向には、近年の自閉スペクトラム症の認知度の高まりが、
影響していると考えられます。
一方で発生率の地域差が大きいことからは、
医療や支援へのアクセスの違いなどの
要因も発生率に影響を与えている可能性が考えられます。」と述べておられます。

自閉スペクトラム症についての遺伝子レベルの研究も進んでおりますが、
ここ数十年の人間の歴史で遺伝子が変異するっていうことが実際にあるのか???
また環境ホルモンの影響による増加という説もありますが、 
決定的な結論には至っていないと、私は理解しております。

さて、 自閉スペクトラム症の場合、
いわゆる「グレーゾーン」と言われる方を含めて、
専門家などの協力を得て、
いわゆる療育、つまり、育てる人、関わる人が、
子どもについての理解を深めることが大切です。
同時に、適切な環境と適切な関係を作り上げ、
維持し、よりよい経験とより良い関係を
積み重ねるように生活することも大切です。
そして、周囲の人達との良好な関係を基に、
当事者である子どもが自分らしい人生を
送ることが出来ることが目標になります。

診断以降の子どもと関わる大人への支援が
不可欠なのです!

日本のこの自閉スペクトラム症に対する診断の感度が、
当事者が家族の「幸せ」に繋がることを切に願っております!

↑